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心療内科での糖尿病患者へのアプローチ
2月3日(木)にKKRホテル熊本にて、
「糖尿病患者の心理を踏まえた治療」
と題した学術講演会がありました。

講師は福岡徳洲会病院副院長 心療内科 部長の
松林 直 先生。
picture.jpg

主催は熊本心身医学懇談会

コメディカルにもオープンの講演会でしたので、
皆さんにもお知らせしたかったところでしたが、
情報をキャッチしたのが直前日でしたので、お知らせ出来ず。

ごめんなさい。



で、心療内科領域で糖尿病患者さんがどういうケアを行われているのか、
の実態を知るべく、ちょっくら潜入(笑)して参りました。

受付で、500円の参加費を支払いまして、芳名録に記入をすませましたところ、
これを渡されました。

事例に学ぶ糖尿病患者への心理的アプローチ事例に学ぶ糖尿病患者への心理的アプローチ
(2010/05/14)
松林 直

商品詳細を見る


なんと演者の著作書籍です。
定価1,600円也。

参加者全員に配られました。
なんて太っ腹!!




貧乏コメディカルとしては、

‘これで元はとったな’ ( ̄ー ̄)ニヤリ

と、さもしい思いを密かに抱きつつ会場へ(笑)




以下、ざっくりとレポートさせていただきますと・・・・・・・・・・





近年、糖尿病ではうつが多いといわれはじめているが、
多いとするデータもあり、そうではないとするデータもあり、
実ははっきりしていない。

ただ、糖尿病の患者さんは、慢性疾患の中でも、
食事、運動、内服薬、血糖自己測定、インスリン自己注射、
低血糖対処、シックデイ対策、合併症予防のための管理、など、
患者さん本人が治療に直接かかわらざるをえないことが多くあるために、
「セルフ・ケアが大切ですよ」という美しい言葉で、
患者さんに多くのことを要求され、日常生活に負担を強いられている。

特に、ひとたび合併症を発症すれば、
たとえきちんと通院して治療を継続していても、
次から次へと新しい合併症を発症する。

このことに対する患者さんの苦痛、無力感は非常に大きく深い。

従って、近年は、糖尿病そのものがうつ病を併発する、というよりも、
こうした糖尿病治療そのものが、患者さんに負担をかけることで生じるのではないか、
という論調になってきている。

であるならば、うつ病、あるいは糖尿病による感情面の負担を早くからとらえることで、
介入できる可能性があり、それは合併症予防にもつながるのではないか。

糖尿病の治療が、身体的にも精神的にも「患者さんに負担をかけている」という事実を
まずは、糖尿病の治療に関わっている医療関係者が認識すること、
そして、そこに共感的理解を示すことが必要である。

そこで求められるアプローチとしては、我々心療内科が昔からやっている、
「治療的会話」を行うことであり、
日本糖尿病学会が出した新しい糖尿病治療ガイドラインでも、
そうした心理ケアが盛り込まれるようになってきた。

この「治療的会話」を体系的に語る言葉としては、近年、
「エンパワーメント」や「コーチング」、「ナラティブ・アプローチ」や
「コラボレーションセラピー」といったものが提唱されており、
糖尿病学会では、石井均先生によって、「変化ステージモデル」が提唱されているが、
いずれも、本質は我々が日常やっていることと同じものと考えている。

  □患者さんのこれまでの生き方を否定せず、十分に尊重する。
  □患者さんと真摯に話し合うことが治療の骨子である。
  □「患者さんに教えてもらう」という態度を医療者側がもつ。
  □「患者さんに教えていただく」という態度に基づいた質問を用意すること。
  □特に再帰的質問(患者さんが語った言葉を膨らませる質問で気付きを促す)は
   対話を円滑にすすめる大きな道具である
  □未来志向型質問は患者さんの隠れた一面を知る事ができる。

このような「治療的会話」をすることで、
患者さん自身が、内なる自分と対話し、
治療目標を設定したり、治療意欲をかりたてたりすることができるようになり、
医療者も、患者さんへの理解がよりいっそう深まり、
何が血糖コントロールの障害になっているかを理解し、適確な介入が可能となるでしょう。





・・・・・・・・・・といったことが
いくつかの症例と研究データともに示される、という内容の講演でありました。



自分の目についた相手の、ある一面をとらえてレッテルを貼ったところで、
相手のすべてを理解したことにはならないし、何も解決しないんだ。
自分が見えていない、相手にとっての事実を、時間をかけて引き出して、
言葉を積み重ねていくことが大切なんだ。

と、そういうことを改めて認識させていただきましたし、
これまで我々のネットワークで、みんなで考察してきたことで間違ってないんだな、
と心強く思った次第です。

というか、
「これって、治療っていうか、人が生きていく上での対人関係の基本だよね」
と、一緒に講演を聴いた池田@世話人が言っておりました。

ほんと、そうですよね。

noobguy-1214541657.jpg

うつむいて視野が狭くなっちゃってる患者さんと、
「人」として、当たり前に「人と向き合う」作業の中から、
何がその患者さんの血糖コントロールの阻害要因となっているかを適確にピックアップし、
今、この瞬間のその人に必要なアドバイスを加えて
その人がちょっとずつ顔をあげて未来に向かって歩いていけるように支援する姿勢が、
医療者側に求められているのだと思います。


・・・で、さらに、心中を正直に告白しますと、

やはり、心療内科であっても、一発逆転のマジックワードはないのね。

という、潔い諦め(笑)を得ることができました。



というわけで、みなさん、地道に頑張って参りましょうっっ!!!





当日、いただいた書籍には、
心療内科における糖尿病患者さんとの「治療的会話」が
様々な背景の患者さんの10名の症例を用い、
心療内科エリアでのエビデンスの引用解説をまじえながら
コメディカルスタッフにもわかり易く解説されています。

特に、症例解説では、
どういう 言葉 を用いてアプローチを行ったか、が
丁寧に描写されていますので、
「具体的に、患者さんに
どんな言葉で語りかけたらいいんだろう?」

と思っている方には、非常におすすめの書籍かと。

買ってみるべし!!




P.S. 
この講演会の際に、熊本心身医学懇談会の事務局の方に、

「ネットワークで糖尿病患者の心理ケアについて研修会をやる際に、
 貴会の先生にレクチャーをお願いすることは可能でしょうか?」

と、アタックをかけましたところ、

「お申し入れを世話人会の席でお伝えしたところ、
 当会の会長で、高野病院診療内科部長を務める小林が、
 自分は、九大で松林先生とご一緒だったご縁もあるし、
 糖尿病患者さんを日々診療しているのでお話できますよ、
 とおっしゃってましたよ。」

との嬉しいご回答をいただきました!!

近い将来、研修会、企画させていただきたいと思います。
乞うご期待!!








【2011/02/07 08:25】 | 心理ケア | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
<<プライマリ・ケアでのアプローチ | ホーム | 「病院の言葉」をわかりやすくするために。>>
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2012/07/29 22:43】 | #[ 編集] | page top↑
管理人のみ閲覧のコメントをくださったあなたへ
ご指摘の箇所は、
“うつ病を発症して心療内科に来られる糖尿病患者さんが
 合併症をどう受け止めておられるか”
にあたるところです。

あくまで、心を病んでしまうまでに追い込まれた方は、
糖尿病の治療をこう受け止めてしまうので、
こう受け止めている方の心に寄り添い、治療を続けていくために、
医療者はどうするべきか−−−というところになりますので、
この記述が糖尿病治療の真実であり、糖尿病治療のすべてだ、
というわけでは決してありません。

通院治療を継続することは、無駄な努力ではありえませんし、
もちろん私達医療スタッフも無駄な努力はいたしません!!

同じ目標をめざして共に一歩ずつ進んでいく−−−。
そうした患者さんと医療者の信頼関係の上での継続治療が、
合併症予防を達成させます。

また、その信頼関係こそが、
ご指摘の文章にある絶望感をもって、心の闇に落ち込んでしまう方を
救うことができるのだと思います。

そのために、我々医療者も、常にこうしていろんなケースを勉強して
スキルアップをはかっているのです。



そして、もしも、今、あなたが、そういう気持ちでいらっしゃるのならば−−。

ぜひ、その気持ちを病院の先生や医療スタッフに、うちあけてください。
あなたが不安に思ってることについて、医療者は詳しくお話ししてくれます。

また、どうしてもそういう気持ちにとりつかれてしまって苦しくてつらい−−
ということであれば、この記事でご紹介したような
心療内科の先生に相談する、という選択肢もあります。

病が本来のあなたの気持ちを支配してしまっている時には、
心療内科の専門医の先生方があなたの力になって下さいます。

いずれにしても、ひとりで悩まないでください。
相談できる方は、必ず、あなたの周りにいらっしゃるはずです。





【2012/07/30 09:07】 URL | 事務局員@ネットワーク #-[ 編集] | page top↑
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